躁鬱病は悪化させてしまう前に、何とか初期の症状の段階で手を打ちたいものです。
そのためには、躊躇せずに心療内科や精神科の病院やクリニックをご利用いただくのが一番ではないでしょうか。
ただ、多くの患者さんやそのご家族が、躁鬱病を疑ったとしてもなかなか診察を受ける決心がつかずに、かなり悪化させてしまってようやく治療の必要性を感じて来院されることが多くなっているようです。
もちろん、必ずしも躁鬱病だと疑いながら受診や治療から目を背けている患者さんばかりではありません。
中には、ご自身や周りの方が気付かずにいたために、心療内科を受診する必要など思ってもみなかったというケースもあります。
実は、躁鬱病と違ってうつ病の場合は、患者さんがふさぎ込み元気がなく、食欲がなくなり眠れないと訴えれば、うつ病かもしれないと疑って悪化する前に治療を受けようとするケースの多いものです。
ところが躁鬱病の場合は少しばかり状況が違って、うつの状態と鬱の状態がやってくるために、ふさぎ込んでいたけれども元気になったといった具合に解釈して安心してしまうこともあるようです。
部屋に引きこもって家族との会話が極端に少なくなったのとは真逆で、積極的に話すようになれば誰でも安心してしまい、まさか躁鬱病だとは思いません。そうこうしているうちにどんどん悪化していきます。
そして悪化した場合は、元気になるどころか大声をあげて饒舌になり、攻撃的に話すようになったり、言語や行動が激しくなる場合があります。
さらに躁鬱病を悪化させてしまった患者さんの中には、気持ちが大きくなってしまうのか、高額な買い物をしたり賭け事に大金を掛けてしまったりといった場合もあるでしょう。
躁鬱病は双極性障害とも呼ばれ、環境の変化やストレスが原因となる場合もありますが、気付いていない要因が隠れているかもしれませんので、まずは専門の病院やクリニックを受診して、きちんとした診察を受けていただければと思います。
中には、受診して初めて躁鬱病だとわかる場合もありますので、少しでも心の病を疑った時は悪化させないためにもご来院ください。
躁鬱病の自覚症状は?
|
躁鬱病(双極性障害)の自覚症状は、躁状態(ハイ)の症状と鬱状態(ロー)の症状の両方を含みます。これらの症状はエピソードとして現れ、時には数週間から数か月間続くことがあります。以下はそれぞれの状態の一般的な症状です。
躁状態(マニア)
- 異常な高揚感や幸福感
極端に楽観的でエネルギッシュになる。
- 過剰な自信
自分が特別であると感じたり、自分の能力を過大評価する。
- 活動の増加
仕事、学業、社交、趣味などにおいて、過剰に活動的になる。
- 過少睡眠
あまり眠らなくても疲れを感じない。
- 話し過ぎる
話が止まらず、話題が次々と変わる。
- 考えが速く進む
思考が次々と湧き出し、頭の中が忙しくなる。
- 衝動的な行動
無計画な買い物、大金の浪費、危険な運転、性的な無分別など。
- 集中力の低下
物事に集中できず、注意散漫になる。
鬱状態(ディプレッション)
- 持続的な悲しみや空虚感
気分が沈み、悲しみや無力感を感じる。
- 興味や喜びの喪失
以前楽しんでいた活動への興味や喜びを失う。
- 体重や食欲の変化
体重が急に増えたり減ったりする。食欲が増えるか、減る。
- 睡眠障害
不眠症または過眠症になる。
- 疲労感やエネルギーの喪失
常に疲れていて、エネルギーがないと感じる。
- 罪悪感や無価値感
自分を責めたり、無価値だと感じる。
- 集中力の低下
決断ができず、集中力が低下する。
- 自殺念慮や自傷行為
死を考えたり、自傷行為を行うことがある。
軽躁状態(ハイポマニア)
軽躁状態は躁状態よりも軽いですが、以下のような症状があります:
- 軽い高揚感やエネルギッシュな気分
- 社交的で話し好きになる
- 生産的で集中力が増す
- しかし、症状が激しくなり過ぎて日常生活に支障を来すことは少ない
これらの症状が持続的で、日常生活に支障をきたす場合は、専門家の診断と治療を受けることが重要です。早期の介入が、症状の悪化を防ぎ、生活の質を改善するのに役立ちます。 |
自分で出来る躁鬱病予防方法は?
|
躁鬱病(双極性障害)の予防には、安定した日常生活やストレス管理が重要です。以下の方法を取り入れることで、躁鬱病の発症リスクを減らすことができます:
- 規則正しい生活習慣
- 一定の時間に起床し、寝ることで体内リズムを整えます。
- 食事や睡眠のパターンを一定に保ち、バランスの取れた食事を心がけます。
- ストレス管理
- ストレスの原因を特定し、それに対処する方法を見つけます。
- リラクゼーションテクニック(深呼吸、瞑想、ヨガなど)を日常的に取り入れます。
- 定期的な運動
- ウォーキング、ジョギング、サイクリングなどの運動を定期的に行い、ストレスを軽減し、エンドルフィンの分泌を促進します。
- 十分な睡眠の確保
- 質の良い睡眠を確保するために、寝る前のリラクゼーションや電子機器の使用を控えます。
- 人間関係の充実
- 信頼できる友人や家族との交流を大切にし、感情を共有します。
- 社交的な活動に参加し、新しい人々と出会う機会を増やします。
- 趣味や興味を持つ活動
- 自分の好きなことや楽しめる活動に時間を費やし、気分転換を図ります。
- 目標設定と達成
- 小さな目標を設定し、それを達成することで自己効力感を高めます。
- アルコールやカフェインの摂取を控える
- これらの物質は気分に影響を与えるため、過剰な摂取を避けるようにします。
- 専門家のサポートを受ける
- 心理カウンセリングやセラピーを定期的に受けることで、感情の管理や対処法を学びます。
- 薬物治療の遵守
- 既に躁鬱病の診断を受けている場合は、医師の指示に従い、薬物治療を継続することが重要です。
- 自己モニタリング
- 自分の気分や行動を記録し、変化を早期に察知することで、適切な対処を行います。
- サポートネットワークの構築
- 信頼できる人々との関係を築き、サポートを受けることで、孤立を防ぎます。
これらの方法を取り入れることで、躁鬱病の予防に役立つだけでなく、全体的な心身の健康を維持することができます。 |
自分で出来る躁鬱病改善方法は?
|
躁鬱病(双極性障害)の管理と改善には、自己管理と医療専門家のサポートが重要です。以下は、自分でできる躁鬱病の改善方法です:
日常生活の管理
- 規則正しい生活習慣の確立
- 一定の時間に起床し、寝ることで体内リズムを整えます。
- バランスの取れた食事を心がけ、食事の時間を規則正しくします。
- 睡眠の確保
- 質の良い睡眠を確保するために、寝る前のリラクゼーションや電子機器の使用を控えます。
- 毎日同じ時間に寝起きするようにします。
- 運動習慣
- 定期的な運動(ウォーキング、ジョギング、ヨガなど)は、ストレスを軽減し、気分を安定させるのに役立ちます。
- ストレス管理
- ストレスを引き起こす状況を特定し、それに対処する方法を学びます。
- 瞑想、深呼吸、マインドフルネスなどのリラクゼーションテクニックを取り入れます。
心理的サポート
- 心理療法
- 認知行動療法(CBT)や対人関係療法(IPT)などの心理療法は、感情の管理や対処法を学ぶのに役立ちます。
- 定期的にセラピストと相談することで、感情の波を早期に察知し、対策を講じることができます。
- サポートネットワークの活用
- 信頼できる友人や家族との交流を大切にし、サポートを受けることで孤立を防ぎます。
- 双極性障害の支援グループに参加し、同じ経験を持つ人々と情報を共有します。
健康管理
- 薬物治療の遵守
- 医師の指示に従い、処方された薬をきちんと服用します。
- 薬の副作用や効果について、定期的に医師と相談します。
- アルコールや薬物の使用を控える:
- アルコールや違法薬物の使用は、症状を悪化させる可能性があるため控えます。
自己モニタリング
- 気分日記をつける
- 自分の気分や行動を記録し、パターンを把握することで、症状の予兆を早期に察知します。
- 気分の変動を定期的にチェックし、必要に応じて医師と相談します。
- 早期警戒サインの認識
- 躁状態や鬱状態の初期兆候を理解し、それを周囲の人々と共有しておくことで、早期に対処できます。
その他
- 自己肯定感の向上
- 自分を肯定し、自己評価を高めることに努めます。自己肯定感が高いと、ストレスに対する耐性も高まります。
- 趣味や興味を持つ活動
- 自分の好きなことや楽しめる活動に時間を費やし、気分転換を図ります。
双極性障害は、自己管理と医療専門家のサポートを組み合わせることで、日常生活の質を大幅に向上させることができます。症状が改善しない場合や悪化する場合は、必ず医師に相談してください。 |