心療内科には、アスペルガーではないかといった相談を寄せられる方もたくさんいらっしゃいます。
特に、まだ低年齢の、たとえば小学生をお持ちのご両親などは、お友達との交流がうまくいかないとか、物事へのこだわりが強いといったことで心配になりアスペルガーを疑うこともあるようです。
また、学校からの指摘があってアスペルガーに気付くこともあるかと思いますが、それだけで不安になったり、周囲の偏見を気にしてアスペルガーという指摘を受け入れられずに、適切な治療を先送りにしてしまうこともあるでしょう。
心療内科に相談される前には、ネットや書籍などを通してアスペルガーに関する知識を得ている方も多いのですが、来院される前と後では、安心感がまったく違うのではないでしょうか。
当クリニックは心療内科としての医療を担っておりますが、神経科でもあり精神科でもあることから、患者さん一人一人の症状や状況を見極めて対応させていただいております。
心療内科を受診してきちんとした診断を受けることで、冷静にアスペルガーについて理解できるでしょうし、治療に関してだけでなくお子さんの進路なども落ち着いて考えることができるようになると思います。
また、大人になってから職場でのトラブルがきっかけで、アスペルガーの可能性を意識して心療内科を受診される方もいます。
子どもの頃や学生の頃は、ちょっと変わった子として見られるだけで特別困ることもなかったものの、就職して仕事上でのコミュニケーションがうまくいかずに悩むことがあるようです。
ただ、一人で悩まずに心療内科を受診することで、アスペルガーと向き合いながら社会生活が維持できるようになる方も少なくありません。お悩みであれば、受診をお勧めいたします。
そして、兵庫や大阪などで心療内科をお探しであれば、川西市のこころと不眠の診療所こばやしクリニックにご相談ください。
当クリニックは、敷居の高さを感じさせる空気感はなく、明るく穏やかな雰囲気の院内であり、緊張することなく受診していただけると思います。
アスペルガー障害の特徴は?
アスペルガー症候群(現在は「自閉スペクトラム症(ASD)」の一部として分類されています)の主な特徴は、主に社会的な相互作用やコミュニケーション、行動パターンに影響を及ぼします。以下にその一般的な特徴を挙げますが、症状の程度や表れ方は人によって異なります。
1. 社会的な相互作用の困難
対人関係の難しさ
他者の感情や意図を読み取るのが苦手で、他者との自然なコミュニケーションが難しく感じることがあります。例えば、相手の気持ちを理解するのに時間がかかる、または共感することが難しいことがあります。
会話の苦手さ
会話の始め方や終わり方がわからなかったり、会話の相手に合わせた調整が難しいことがあります。また、非言語的なコミュニケーション(表情、アイコンタクト、身振りなど)を解釈することが苦手です。
2. 興味や活動の限局
特定の興味への強い集中
特定のテーマや分野に非常に強い興味を示し、その分野に没頭することがよくあります。この興味は非常に詳細かつ長期にわたることがあります。例えば、特定の歴史的事象、科学、技術、鉄道などへの関心が強いケースがよく見られます。
パターン化した行動
日常生活で一定のルールやルーティンにこだわる傾向があり、予定が変わることに対して不安を感じることが多いです。
3. コミュニケーションの特徴
一方的な会話
一方的に自分の興味について話し続けたり、相手が話に興味を持っているかどうかに気づかないことがあります。
言語的な能力と非言語的なコミュニケーションのズレ
言語能力は高いことが多いですが、トーンや表情、ボディーランゲージなどの非言語的なコミュニケーションが苦手なことがあります。
4. 感覚の敏感さまたは鈍感さ
感覚過敏
音、光、匂い、味、触覚などの感覚に対して非常に敏感であることがあります。例えば、大きな音や強い光に過剰に反応することがあり、不快感を感じやすいです。
感覚鈍感
一方で、感覚に鈍感である場合もあり、例えば痛みや温度に対する感覚が通常よりも鈍いことがあります。
5. 運動の協調性の問題
運動スキルの不器用さ
細かい運動スキルが苦手で、不器用に見えることがあります。これは、例えばボールを扱ったり、手先を使う作業などが苦手なこととして現れることがあります。
6. 感情の表現や制御の困難
感情の表現が独特
感情を理解したり表現したりするのが苦手で、時には適切なタイミングで感情を示せなかったり、感情を抑えるのが難しいことがあります。怒りや不安が高まると、突然の爆発的な行動に出ることもあります。
7. 知的能力の多様性
知能指数(IQ)は幅広い
知的能力は人によってさまざまです。アスペルガー症候群の人々の多くは平均またはそれ以上の知的能力を持っている場合が多く、特に興味のある分野において非常に高いパフォーマンスを発揮することもあります。
8. 発達のタイムライン
言語発達は通常の範囲内
言語の発達は比較的早く、幼少期に大きな遅れが見られないことがアスペルガー症候群の特徴です。この点で他の自閉スペクトラム症(ASD)とは異なることがあります。
これらの特徴は人によって異なり、すべての人がすべての特徴を持っているわけではありません。各人が持つ強みや困難さは多様であり、それに応じたサポートが求められます。
アスペルガー自己診断シート
アスペルガー症候群(現在は「自閉スペクトラム症(ASD)」の一部とされています)に関連する自己診断シートを作成しました。このシートは、あくまで自己理解を深めるための参考であり、診断を下すものではありません。正式な診断を希望する場合は、専門の医療機関での診断が必要です。
以下の質問に「はい」「いいえ」で答えてください。
アスペルガー自己診断シート
1. 社会的な相互作用について
□他人と話すとき、相手の感情や意図を読み取るのが難しいと感じることがありますか?
□初対面の人やあまり親しくない人と会話を始めるのが苦手ですか?
□目を合わせることが苦手で、無意識に視線を避けてしまうことがありますか?
□会話の際、相手の興味や感情に気づかず、一方的に話してしまうことが多いですか?
□グループでの活動や会話に加わると、疲れを感じることがありますか?
2. 特定の興味や習慣について
□特定のテーマや興味に強く集中し、その話題について長時間話すことが多いですか?
□予定が急に変わると、不安やストレスを感じますか?
□日常生活において、特定のルーティンを守らないと落ち着かないことがありますか?
□周囲の人にとっては些細なことでも、自分にとっては非常に重要に感じることがありますか?
3. 感覚の敏感さについて
□音や光、匂いなどに対して敏感で、特定の環境では過剰に刺激を受けることがありますか?
□特定の衣服や布地が不快で、特に肌に触れる感触に敏感なことがありますか?
□大きな音や混雑した場所が苦手で、そういった状況を避ける傾向がありますか?
4. コミュニケーションについて
□冗談や皮肉を理解するのが難しく、会話で誤解されることがありますか?
□他人の感情表現(表情やボディーランゲージ)を理解するのが難しいと感じますか?
□会話の流れやトーンを調整するのが苦手で、話し方が単調だと言われることがありますか?
5. 感情と行動のコントロールについて
□感情が高ぶると、突然の行動や感情の爆発を引き起こすことがありますか?
□不安やストレスが溜まると、自分を落ち着かせるために特定の動作(手を振る、体を揺らすなど)を繰り返すことがありますか?
□感情の表現が周囲の人とは少し違っていると感じることがありますか?
6. 運動の協調性について
□スポーツや手先を使う細かい作業が苦手で、不器用だと言われることがありますか?
□筆記や絵を描く際、手先の動きが思うようにいかないことがありますか?
7. 学業や仕事における特性
□ルーティン化された作業や特定のルールに従うことに安心感を感じますか?
□一度集中し始めると、周囲の状況に気づかずに作業に没頭することが多いですか?
自己診断の結果
「はい」が多い場合
上記の質問に「はい」と答えることが多い場合、アスペルガー症候群(ASD)の特徴を持っている可能性があります。自分自身の特性について理解を深める一助となるかもしれませんが、正式な診断は専門医に相談することを強くお勧めします。
「いいえ」が多い場合
この場合、アスペルガー症候群の特徴はあまり見られないかもしれませんが、もし日常生活に支障を感じている場合は、他のメンタルヘルスの問題が関与している可能性もあります。気になる場合は専門家に相談しましょう。
注意
この自己診断シートは、あくまで自己理解のためのものであり、医学的な診断を行うものではありません。正確な診断は、精神科医や臨床心理士による評価を必要とします。