もし、躁鬱という診断を受けたとしたら、一番に心配になるのは治療にかかる費用であり、保険が適用されるかどうかが気になることでしょう。
一般的に病気や怪我で病院での治療を受けた場合は、加入している健康保険、つまり協会けんぽや国民健康保険などの医療保険を使った治療を受けることができます。
そして保険を使った場合、ご自身で医療費負担は3割で済むわけです。では、躁鬱のような心の病の場合は、医療保険を使っ診療を受けることができるのでしょうか。
心配はいりません。躁鬱の場合も、加盟している医療保険で診療を受けることができますので、健康保険証をご持参いただければ大丈夫です。
実は、患者さんの中には躁鬱のような心の病の場合は、保険の対象外ではないかと思い込まれて、なかなか心療内科を利用しようとされない方もいらっしゃるようですが、こころと不眠の診療所こばやしクリニックでは保険診療を行っておりますので、躁鬱の場合も安心して受診していただければと思います。

しかも、躁鬱が原因で休職されたり退職されたりすれば、一層負担は大きくなり、心労にもつながり躁鬱の改善にも悪影響を与えてしまいます。
そんな時に、少しでも患者さんの負担を軽くする制度として、通院医療費の公費負担制度があるわけですが、兵庫県でも指定自立支援医療機関(精神通院医療)があり、当クリニックも該当いたしますので、保険治療や公費負担についての疑問やご相談があれば、気軽にお尋ねください。
通院が長くなることが気がかりで、躁鬱の治療を躊躇されることで悪化させてしまえば、さらに長い期間の治療が必要になってしまいます。
医療保険や公的支援を上手に利用して、できるだけ早く躁鬱の治療を開始していただきたいと思います。
うつ病の「前兆」になりやすいサイン(心と体の変化)
心のサイン(感情・思考)
①気分が落ち込むことが増えた
理由がはっきりしないのにずっと気分が晴れない
②やる気が出ない
好きだったことにも興味がわかない/面倒に感じる
③自分を責めがちになる
「自分なんて…」「全部自分が悪い」と思ってしまう
④イライラ・不安が強くなる
些細なことで不安になったり、怒りっぽくなる
⑤集中力・判断力が落ちる
本を読んでも頭に入らない、ミスが増える
体のサイン(身体症状)
①寝つけない・途中で目が覚める
熟睡できない/早朝に目が覚めてしまう
②食欲がない(または過食ぎみ)
食事が味気なく感じる/逆にストレス食いが増える
③頭痛・腹痛・肩こり
検査しても異常なし。ストレス性の不調
④疲れがとれない
しっかり寝ても疲労感が抜けない
⑤動悸・息苦しさ
パニック発作に近い症状が出ることも
行動や生活面の変化
①人と会いたくなくなる
SNSの返信が面倒/誘いを断ることが増える
②遅刻・欠勤・休みがちになる
朝起きられず、学校や仕事に行けない
③身だしなみに無頓着になる
着替えや入浴も面倒になってくる
④物事を先延ばしにしてしまう
やらなきゃいけないことができない
こんな考え方が出てきたら要注意
・「全部投げ出したい」
・「自分なんていない方がいい」
・「もうどうでもいいや」
・「疲れすぎて、動けない」
こうした思考は、脳が疲れているサインです。うつの始まりかもしれませんので、休養と相談が必要です。
前兆に気づいたときにできること
① まずは「自分が疲れていること」を認める
→ 無理に頑張らず、「休んでもいい理由」があると考えてみてください。
② 信頼できる人に話す(家族・友人・上司・相談窓口など)
→ 一人で抱えず、言葉にすることで気づけることがあります。
③ 心療内科やメンタルクリニックに相談する
→ 早い段階なら、薬を使わずに回復できることも多いです。
かんたんセルフチェック(3つ以上で受診検討)
□ 気分が2週間以上晴れない
□ 朝が特につらい/起きられない
□ 何をしても楽しく感じない
□ 夜眠れない/食欲がない
□ 身体がだるく、動けない
□ 自分を責める気持ちが強くなってきた
早めに気づいて、ちゃんと立ち止まれることは「弱さ」ではなく「強さ」です。必要であれば、「うつの初期にどう休めばいいか」「会社や学校への伝え方」などもお手伝いできますよ。気軽に聞いてくださいね。