日本人の死亡原因のトップは癌であり、それでも癌治療の名医と言われる医師もいて、さらに名医を助ける治療薬の開発などもあって、最近は癌になってからの生存率もかなり高くなっています。もちろん、その背景には外科医の手術の技術力の向上もあるでしょうが、それ以前に癌を発見する内科医の中にも名医が存在するわけです。さらに、癌研究に取り組む名医に匹敵する研究者もいるでしょう。つまり内科医や外科医の名医、優秀な研究者などの連携によって、助かる命が増えているわけです。
では、心の病の現状はどうかと言えば、ストレスによる発症で精神病院を訪れる方も増え、患者さんの数は増えているのかもしれません。ただ、ご本人の希望というよりも、ご家族などが精神病院を受診することを勧めることも多く、名医のいる精神病院を探そうとするケースもあるようです。ただ、どんなことを基準に精神病院を選べばいいのかがわからなければ、名医としての評判だけが頼りなのかもしれません。そのために、わずか数回の通院で効果が出なければ、必死の思いから次から次に精神病院を変え名医を探すということもないとは言えません。ところが、患者さんと医師とが落ち着いて話ができ始めた頃に、また別の精神病院ということになれば、適切な治療にたどり着けないことにもなりかねないでしょう。