環境が大きく変わったり人間関係が変化した時は、心の安定が多少乱れることもあると思いますが、特に症状が深刻な場合は、すみやかに気分障害診断を受けていただき、さらに適切な治療を受けていただければと思います。そして、心に現れる症状だけでなく、風邪を引いたわけでもないのに身体がだるいとか、頭がすっきりしないなどの体調の不具合の原因が、気分障害からきているとわかる場合もあるでしょう。
そのうち治ると過信してしまい、気分障害診断を受けることなくそのまま放っておくと、深刻な心の病に発展してしまうこともないとは言えません。思い切って気分障害診断を受けてご自身の状況がはっきりすれば、改善策も見つかるでしょうし、的確なアドバイスや気分障害診断に基づいた治療が受けられはずです。
では、実際に気分障害診断を受けるにはどうすればいいかとなりますが、まずは心療内科や精神科の病院を探すことから始めてはいかがでしょうか。また、ご存知の心療内科のクリニックなどで、気分障害診断を受けられるかをお尋ねいただければと思います。

たとえば、気分障害診断の設問の中には、心の病と関係があるのかといった問いもあります。首や肩のコリ、頭痛や食欲不振などは心の病の症状なのか、それともまったく別の病気によるものなのか、そういった疑問もご自身の気分で判断してしまうのは危険があります。
さらに、気分障害診断によって治療が必要だとわかったとしても、うつ病なのか双極性障害なのか、あるいはパニック障害といったケースもあると思いますので、まずは信頼できる心療内科や精神科を受診して気分障害診断を受けていただきたいと思います。そして、心の病が疑われるような場合は、気分障害診断に対応できるこばやしクリニックにご相談下さい。
気分障害の診断方法
① 面接(問診)=もっとも重要な診断方法
医師が30〜60分ほどかけて症状を丁寧に聞きます。
以下の点を中心にチェックします:
うつ病の場合
・気分の落ち込み
・意欲低下
・不眠/過眠
・食欲の変化
・罪悪感
・集中力低下
・死にたい気持ちの有無
・生活や仕事への支障
双極性障害(躁うつ)の場合
・気分の高揚
・多弁
・睡眠欲求の低下
・衝動性(浪費・過活動)
・イライラの増大
・その状態が何日続いたか
・その後にうつ状態がきたか
② DSM-5 / ICD-10(世界基準)による診断基準の照合
医師は問診の内容が、
国際的な診断基準(WHOやアメリカ精神医学会の基準)に当てはまるか確認します。
③ 心理検査(必要に応じて)
代表的な検査
・PHQ-9(うつの程度を測る)
・HAM-D(医師が行ううつ病評価)
・BDI(自己記入式のうつ尺度)
・YMRS(躁状態を測る)
・MMPI(性格・精神状態を総合的に評価)
これらは補助的な検査で、
検査だけで病名がつくわけではありません。
④ 身体の病気が原因でないか確認する(鑑別診断)
うつ症状は、身体の病気が原因で出ることもあるため、必要に応じて検査します。
血液検査で見ること
・甲状腺機能(低下・亢進)
・貧血
・栄養不足(ビタミンB12など)
・ホルモン異常
脳の異常が疑われる場合
・MRIやCTを行うこともある(まれ)
⑤ 家族歴・生活背景の確認
特に双極性障害では、家系に同じ傾向があることが多いため、
家族の精神疾患歴も参考にします。
また、
・仕事のストレス
・睡眠のリズム
・性格傾向(真面目・責任感が強いなど)
・生活習慣
なども重要な診断材料になります。
⑥ 経過観察(1〜数ヶ月)
気分障害は**症状の「時間的推移」**がとても重要な病気です。
そのため、問診1回で確定診断できないことも多く、
・「躁っぽく見えるが本当に双極?」
・「うつが一時的なのか長期なのか?」
などを見極めるために経過を観察して判断することもあります。
まとめ
気分障害の診断は
問診(症状・経過の確認)+診断基準の照合+必要な心理検査・血液検査
を組み合わせて行われます。










