まさか中学生が躁鬱病を発症するなんて、と驚いたのはずっと昔のことかもしれません。最近は、中学校にスクールカウンセラーを配置するほど、中学生の躁鬱病などの精神疾患への配慮が必要になっているようです。
もちろん、スクールカウンセラーが躁鬱病に対してどこまで対応できるのかはわかりませんが、中学生やその保護者の方たちが抱える深刻な悩みを受け止め、悩みが躁鬱病の発症へとつながらないようにという苦肉の策なのでしょう。
躁鬱病の症状は、気分が高まり行動的になり良くしゃべる時もあれば、まったく逆で落ち込んだ様子で口数が少なくなることもあるわけで、周囲から見れば思春期の中学生にはよくあることと軽く考えてしまいがちです。
そして、躁鬱病は、社会に出て複雑な人間関係の中で仕事をして、ストレスが解消できないことが引き金になるように思われているのかもしれません。中学生であれば、そういった環境とも縁がないように思われて、躁鬱病になるはずがないと決めつけられてしまうのかもしれません。

学校では目立たない中学生であれば、その変化に学校が気付かないこともありますので、少しでも心配なことがあれば早めに心療内科にご相談いただければと思います。
もちろん、心療内科を受診するとか、躁鬱病の治療を受けるとなれば萎縮する中学生もいるかもしれませんが、当クリニックはこれまでの心療内科や精神科のイメージを覆すようなクリニックであり、落ち着きのある明るいクリニックで、緊張感をほぐしてくれる雰囲気を持つ心療内科なので、気持ちを楽に持って受診していただけると思います。
そして、中学生のお子さんが何となく食欲がなさそうだとか、眠れないと訴えている時は、ためらわずに一度こばやしクリニックにご来院ください。
中学生に見られる躁鬱病の初期サイン
中学生の躁鬱病(双極性障害)の初期サインは、大人とは少し違って「反抗期」や「思春期特有の気分の波」と区別しにくいのが特徴です。ですが、次のようなサインが複数・繰り返し見られると注意が必要です。
中学生に見られる躁状態の初期サイン
・睡眠が極端に減っても元気(夜中まで起きていても朝から活動的)
・しゃべりが止まらない、話題が次々と変わる
・イライラが強い(友達や家族にすぐ怒る、反抗が激しい)
・急に 自信満々・万能感 を持つ(「自分は特別」「なんでもできる」)
・授業中に落ち着かず、多動的に動き回る
・衝動的な行動(無駄遣い、無謀な挑戦、危険行動)
中学生に見られるうつ状態の初期サイン
・学校や勉強に急に興味を失う、成績の急低下
・朝起きられず、登校できなくなる
・強い疲労感、体のだるさを頻繁に訴える
・食欲や体重の大きな変化(過食または拒食)
・過眠(長時間寝る)または不眠
・「自分なんてダメだ」「消えてしまいたい」といった発言
共通の注意ポイント・
気分の波が極端(数日〜数週間単位で「元気すぎる」→「落ち込みすぎる」を繰り返す)
・家族や先生が「いつもの反抗期や気分屋とは違う」と感じるほどの変化
・学校生活・家庭生活に支障が出る(友人関係トラブル、不登校、生活リズム崩壊)
まとめ
中学生の躁鬱病の初期サインは、
・「反抗期の延長」に見える躁症状
・「不登校・無気力」に見えるうつ症状
として現れることが多いです。
早期に気づくためには、気分や生活の変化が“波”として繰り返されていないかを家族や先生が観察することが大切です。
中学生が躁鬱病になる可能性及び原因
中学生くらいの思春期にも**躁鬱病(双極性障害)**が起こる可能性はあります。ただし、大人と比べて発症年齢はやや低め(10代後半〜20代前半が多い)とされる一方で、中学生で見られる場合は「発症の初期兆候」や「別の問題と区別が難しい段階」であることも少なくありません。
中学生が躁鬱病になる可能性
・完全に珍しいわけではなく、小児〜思春期の双極性障害として報告されています。
・特に 家族に双極性障害やうつ病がある場合 は、遺伝的な影響で発症リスクが高まることがあります。
・ADHD、発達特性、不安障害などと併存するケースもあります。
中学生が躁鬱病になる原因・要因
原因は一つではなく、複数の要因が組み合わさって発症すると考えられています。
1. 生物学的要因
・遺伝的な素因(親や親族に気分障害の既往)
・脳内の神経伝達物質(セロトニン・ドーパミンなど)のバランスの乱れ
・睡眠・覚醒リズムをコントロールする機能の不安定さ
2. 心理的要因・
強いストレス(受験・部活動・人間関係のプレッシャー)
・自己肯定感の低下や「完璧主義」的な考え方
・思春期特有の感情の揺れや衝動性
3. 環境要因・
家族関係の不和(親の不仲・虐待・過保護や過干渉)
・いじめや孤立といった学校でのストレス
・不規則な生活(夜更かし、スマホ依存、過度のゲーム)
中学生に特徴的な点
「躁状態」が大人より目立ちにくく、
・反抗的態度
・イライラ・怒りっぽさ
・活動量の急な増加(夜眠らないで動き続ける)
といった形で現れることがある
「うつ状態」は
・学校に行けない
・勉強への意欲が急に下がる
・過眠・過食や、逆に不眠・拒食
として表れやすい
まとめ
中学生でも躁鬱病になる可能性はあり、遺伝的素因 × 脳の発達段階 × 環境ストレスが重なることで発症リスクが高まります。早めに「気分の波が極端」「生活に支障が出ている」と感じたら、心療内科や児童思春期外来に相談することが大切です。